椿と蟻 [日記・雑感]
木へんに春と書いてツバキ。
父が最近、この椿の花を拾っている。大輪の花は咲き終わるとぽろりと落ちてしまい、地面で茶色くなっていくのが痛ましいからだろう。毎日のように拾って庭の片隅に積み上げている。
ところで今日は、また庭を掘っていた。丸い穴をひとつ、細長いのをもうひとつ。中に肥料になるものを入れて土をかぶせるのだが、枯れ葉、木の枝、野菜くずなど入れて、ついでに椿も埋めてみる事にした。
積み上げられた椿の花に近づくと、まず甘い香りが鼻をついた。まるで南国の果物のような。花が落ちて香りが強くなるというのは、果物が熟するのに似ている。ふと目を凝らすと、まだピンクの花の上で小さく動く点があった。アリだった。甘い香りに引かれてだろう、椿の花の中に出たり入ったり、ちょこまかと動いていた。自分は茶色く変色した花だけを持って行くことにした。果たしてアリは椿の蜜が気に入ったかどうかは定かではないが。
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