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遭遇 [日記・雑感]

先日、よく通る道をひとりで歩いていた時の事だ。

目の前の地面に、紫色の、四角い、平たいものが落ちていた。
手紙だった。
思わず足を止めて拾い上げたそこは、夏休みで人気のない小学校の校門の前だった。

宛名の住所は関東で、宛先には男性の名前が書かれていた。
全て漢字だったが、子供が書いた字だ。
裏返してみると、パンダのシールで封がされていた。
その下に、大阪の住所と差出人の名前。
男の子か女の子か分からない名前だった。

単身赴任のお父さんに?
いや、名字が違う。
転校した友達に?
夏休みに遊びにきた親戚に?
もしくは、これから遊びに行く親戚に?

きっとたくさんの思いがこもっているのだろうが、その手紙には切手が貼られていなかった。

この道を歩いていくと、すぐ郵便局がある。
そこまで行く間に落としたのだろうか。
それなら、すぐ気づいて戻ってきそうなものだが。
あのまま歩道に置いておかれたら、見知らぬ足や車輪に踏みつけられ、ぼろぼろになってしまうだろう。

そんなことを色々と考えていた結果、手紙を持って郵便局の前まで来てしまった。
窓口で切手を買って投函するのは簡単だ。
だが、果たしてこの手紙は、本当にそれを望んでいるだろうか。

少し悩んだが、切手の無いままの手紙をポストに入れた。
これで差出人に戻されるだろう。
運命は、本人に決めてもらうのが一番だ。
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