１、２秒

先日会社のエレベーターであったこと。

いつものように昼休みから帰る時にエレベーターに乗ったら、向こうから女性がいかにも乗りたそうな感じの早足で歩いてくるのが見えた。自分は「開」ボタンを押して閉まりかけたドアを開け、彼女は乗ってこれたのだが、乗ったが早いかこちらを一瞥もせず階のボタンを押し、たて続けに「閉」ボタンを押した。

数十秒の沈黙のあと、自分は彼女より下の階で降りたのだが、一歩エレベーターから出た瞬間カチッと音がして、首を傾けるとドアがしまってゆくのが見えた。自分が降りるなりまた「閉」ボタンを押したのだろう。

一分一秒を争う、という言葉があるが、彼女は本当にそんなに忙しくて切羽詰まっているのだろうか。きっとそう思い込んでいるだけだと思う。