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入院8日目:手術翌日、集中治療室 [入院・弁形成手術]

以下、さーちゃんの日記より

夕べはさすがに22時頃に寝た。何か夢を見ていたが覚えていない。目覚ましで起きシャワーを浴びる。出勤し、10時過ぎに郵便局へ行く途中、姉と電話で話をしたが、待っている方の何も出来ないくやしさや、どれほど心配だったかを聞かされる(※さーちゃんの手術時)。自分も同じ立場になり、身を持って知ることになる日がくるとは当時はわからず、わがままばかり言って本当に申し訳ないと今さらながら思った。

郵便局の帰りに、いつもの喫茶店へ。奥さんとそのお母さんも、無事終わって良かったと言ってくれた。私の旦那様はみんなに好かれていると、つくづく思った。バタジャムトーストと玉子、ホットコーヒーを頼むが仕事の電話が鳴る。昼ご飯の予約をして、早々に会社に戻る。会社に戻って仕事の続き。

お義母さんがKちゃんの顔を見たらメールをくれると言っていたので何度も携帯を確認してしまう。私も早くKちゃんに会いたい。きっともう目覚めているだろう。12時ちょうど、お義母さんからメール。ICUからCCUに移ったとの事。昨日20時まで待っていたら目が覚めていたらしい。でも今日は起きているKちゃんに会えそうだ。早く定時にならないかな。

駅に着き早足で病院へ。面会の申込に名前を記入すると、主治医の先生が出てきて「待ってますよ」と言ってくれた。案内してくれたベッドを見ると座っている。感動。顔色も良い。嬉しい。たくさんお話しする。手術前にトレーニングをしていたからだろうか、しっかりと声が出ている。本当にすごい。


* * *
以下はKの記憶より(日記は書けなかった)

月曜の手術はあっという間だった。麻酔が10秒くらいで効き、気づくとICU(集中治療室)にいた。目覚めた直後、もう面会時間外でご家族は帰られた、と教えてもらい、残念に思ったが、色々な処置を受け、定期的に体の向きを変えてもらったりしているうち、また眠った。
(あお向けに寝ていると肺が圧迫されるので、体の左右どちらかを下にして寝る必要があった。また、2時間毎に寝返りをうつ必要があったが、自力でできないので看護師さんにひっくり返してもらっていた)
ICUは色々な装置があり、暗くも静かでもなかったが、一瞬だけ、これは死後の世界かもしれないと思った。そして、すぐそうではないと思った。体中が、特に喉が、地味に痛かった。死んでしまっていたなら、こんなに地味に苦しいわけがない。

次に目覚めた時、あまりにも長く眠っていた気がして、今日も面会時間を過ぎてみんな帰ってしまったのではないかと思った。喉がカラカラに乾いていたが、看護師さんに、日時を尋ねると、まだ火曜の朝7時だった。手術の翌朝だ。
看護師さんに、寝たままで体を洗ってもらった。持参するよう言われていた紙オムツ数枚のうち、縦に長いものを1枚、私の片腕の下に敷くと、お湯を上からかけ、泡立つスポンジで腕を洗ってくれた。あたたかくて気持ちが良かった。片腕が終わると、敷いていたオムツを抜き取り、もう片方の腕の下に敷いた。そして、同じように腕を洗ってくれた。終わっても、ベッドは全く濡れていなかった。

「紙オムツって、すごいですね」

乾いた喉からそう言うと、「そうなんですよ」というような返事が返ってきた。
両腕が終わると、今度はシャンプーをしてくれた。これは確か、頭をベッドの上の方から出してやってもらったと思うが、よく覚えていない。とにかく気持ちが良かった。

次に体重測定があった。ベッドに寝たまま、体の下に大きなシートをさし入れてもらう。ベッドと体の間にシートをさし込むのに、体を適宜動かしてもらうのだが、これだけのことで、全身のあちこちが痛い。正直、やめてほしかった。
シートが大きな機械で吊り上げられ、体が宙に浮いた。体重は70kgを超えていた。増えていますね、と言うと、「点滴等で2kgくらい増えているはず」というお返事。この後は、すぐにICUからCCU(冠疾患集中治療室)に移された。

ICUにいた時には、もっと色々なことがあったはずだが、記憶がはっきりしていない。
口の中がひどく乾いていて、舌が干からびているような気がした。看護師さんが何度も、大きな黄色い綿棒で口の中を湿らせてくれた。やがて水を飲ませてもらった時、「手術後最初に飲む水は、命の水と言われています。美味しいでしょう」と誰かに言われたのも覚えている。しかし、誰だったかは覚えていない。実際には、喉が痛いばかりで美味しいとは思わなかった。
朝食は食べた覚えがあるが、目覚めたICUで食べたのか、後で移動したCCUで食べたのか、わからない。
乾いた喉が痛くて、最初に果物をかじったが、味がよくわからなかった事は覚えている。
あと、執刀医の先生が来られて「全てうまくいきました。弁形成で」と笑顔で言って下さった事を覚えている。そしてすぐ、別のベッドの方に向かった。そして、さっきとは違い、ベッドのところで他のスタッフの方と色々と話されていた。その様子から、自分は経過が良いのだと思った。

CCUは広々としていて、装置だらけのICUに比べると、普通の大部屋みたいだった。
ただ、テレビの乗った台が無かった。また、ベッドの頭の方の壁には何かの装置があるらしく、電子音がしていた。体も起こせないし首も動かせないので、何かはわからなかった。いくつもの管や線が体に繋がっていて、動けなかった。とにかく体中が痛むので、動く必要がない限り動きたくなかった。体のどこで何の痛みがどれくらいあるとか、ほとんどわからなかったが、開胸した胸の痛みだけはよくわかった。

そのうち、看護師さんにベッドを起こしてもらい、もたれるようにして座った。
横向きに寝る習慣がないので、このほうが有り難い。
痰を出した方が良い、ただし咳をすると手術跡が痛むので、胸の傷を手のひらで押さえながらして下さい、と言われた通り、やってみるが難しい。軽くゴホッと言うだけで胸に響くので、つい腰が引けてしまい、勢い良く咳をするという事ができない。一度だけうまくできて、少しだけ赤いものが混じった痰が出た。

看護師さんが、ちょくちょく色々な用事で来てくれていたが、ある時「テレビを見ていいか、確認してみます」と言ってくれた。何もしないでベッドに居るより、テレビでもつけて気を紛らわせる方が良いという事だろう。

昼になり、看護師さんが昼食を、サイドテーブルに置いてくれた。持参品の中から、箸とスプーンのセットを取ってもらう。
手は動かせる。スプーンでお粥をすくって食べ、お箸でおかずをつまんで食べる。朝と同じで、驚くほど味がしない。手術前までは減塩の「心臓疾患食」を食べてもそれなりに美味しいと思っていたが、今は味がわからない。しかし食べないと良くならないので、必死で全部食べた。最後に「メイバランス」という、四角いパックに入った栄養補助の飲み物を飲んだが、これも味がわからなかった。

そうこうしているうち、母が来てくれた。
食後、お箸とスプーンを、すぐ近くの洗面台で洗ってもらった。ここぞとばかりに、テレビを見られるようになった時のために、1000円貸してもらった。テレビカードは1枚買っていたが、財布に入れ、さーちゃんに預けたままだった。
CCUも病室と同じで、13時から15時は面会不可なので、母はすぐ帰っていったが、ベッドに座って昼食を食べている姿を見せることができて良かった。きっと安心してくれただろう。

午後は理学療法士の方がやって来られ、早速リハビリが始まった。まずベッドの横に座り、床に足を下ろした。続いて膝を曲げて足の上げ下ろし。次には、両手を前で合わせて、ラッコの食事のように上下に動かした。これが意外に疲れるが、できないことはなかった。
いよいよ、手を貸してもらって、ベッドから腰を上げ、床に立った。立てる。
一度ベッドに座ると、体から出ている管や線をまとめ、点滴台に必要な装置が全て乗るようにしてもらった。再び立ち上がらせてもらい、今度は点滴台を持って、部屋の入口まで歩いた。またベッドまで戻るまでのほんの一瞬だったが、約1日半ぶりに自分の足で歩け、感慨深かった。

18時過ぎ、さーちゃんが来てくれた。嬉しい。本当に嬉しい。
さーちゃんを案内してくれた主治医の先生と、看護師さんが、笑顔で去っていった。
まだ体中に色々な管がくっついているが、座って面と向かって話せるのがとても嬉しい。
夕食が配膳され、おかゆを食べさせてもらった。ふたりで話し続けて、あっという間の1時間。
貴重な1時間の間、テレビカードを買いにいってもらった数分間がもったいなかったと思った。


* * *
以下、再びさーちゃんの日記より

心配をかけまいと無理をしていなければ良いと思う。ご飯もしっかりと食べていた。リハビリで腕を上げる運動もしたと言っていた。起き上がったり寝たりする時に、苦痛に顔をゆがめたりしていない。本当にすごい。早ければ2週間で退院と言ってもらえたらしいが、本当に本当に無理をせず、ゆっくりと回復してくれたらと思う。

19時になったので、後ろ髪を引かれながら病院を出る。明日も会える。顔が見える。話せる。平日は長くても1時間ちょっとしか一緒に過ごせないので、出来れば早く週末になってほしい。

家に着いてしばらくすると外の音が大きくなる。雨足が強くなったようだ。日記を書いたりしていたが、雨が弱まる気配はない。中々眠れない。
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