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入院7日目:開胸手術 [入院・弁形成手術]

寝つけないかと思ったが、わりとよく眠っていた。

6:20頃、看護師さんに起こされ、手術前の浣腸を受ける。ベッドに横に寝て初めての洗礼。3分から5分ほど我慢して、トイレに出して下さい。我慢できなければすぐ出しても大丈夫。出した後は確認があるので流さないで呼んで下さい、との事。これは人によってはかなり抵抗あるだろう。自分はなかったが。
数分後、便の確認OK。続いて体重測定。68kg、昨日の朝より1.8kgも軽くなっている。

7時に病室の電灯が点いて、もう物音を立ててもいいと思ったので身支度を始める。さーちゃんから、電車に乗ったとメールがあった。すぐ2通目のメール。意外と電車が混んでいるらしい。
病院から指定のあった8:15の前にはさーちゃんも、母も来てくれた。話をしているうち、あっという間に手術室に呼ばれる。じゃあ行ってきます、と二人に言ったと思うが、正直よく覚えていない。頭の片隅に、ある本のタイトルがかすんで見えている。

「ぼくどうして涙がでるの」

1965年に出版された、5歳の男の子と、20歳になったばかりのヒロインの、心臓病との闘病を綴ったドキュメンタリー。二人が入院していた病院では、「手術室に入る前、涙を流した患者は病室に戻ってこれない」というジンクスがあったという。しかし、男の子は手術の直前、涙を流しながら、看護師さんにこう尋ねる。

「ぼくどうして涙がでるの」

そして、ー

手術室のドアが開く。他の看護師さんとは違う、赤い服の看護師さん(オペ室ナースというらしい)が迎えてくれる。涙は出ていない。大丈夫。

手術台に寝ると、カテーテル検査の時と同じように、周りで色々な事が同時に進み始める。赤い服の看護師さんが、手術とは関係のない話を始め、世間話を少しした。手術のことから気をそらせようとしているようだ。つまり、人によってはこの段階で落ち着いていない人もいるという事か。これが人生最後の会話にならないとは思うが、ひょっとしたらなるかもしれない。
この手術に伴う死亡リスクは3%、自分の年齢と健康状態からするともっと低いという話。さーちゃんは自分よりはるかに重症だったが、この執刀医の先生の手術で回復した。だからこの手術も成功すると信じている。腕の中にひやっとした感触。麻酔薬が入ってきた。

「すぐ眠くなります」

さーちゃんの時は、麻酔が入って2秒くらいしたらもう意識が無くなったという。
はい、わかりました、というような返事をしたと思う。
覚えているのはそこまでだった。


* * *
(以下、さーちゃんの日記より)
夕べはなかなか寝つけなかったが、目覚ましで目覚める。指定の8:15まで時間があるので、病院の近くのタリーズでモーニングセットを2つ買う。お義母さんと一緒に食べようと思う。病室に着き、しばらくすると寝巻きをきがえるように看護師さんが持って来てくれる。和式寝巻きもなかなか、色っぽくてかっこいい。何を着ても素敵だ。

浣腸の話をしているとお義母さんも到着。(ずっと前の駅から乗り換えずに)歩いて来たとの事。健脚だ。すると同室のAさんが、また外泊に出ていくのであいさつ。頑張って下さいと声をかけてくれる。いい人だ。掃除のおばちゃんが入ってくる。若いから大丈夫とこれまた声をかけてくれる。みなさん親切だ。ご自分も血圧が高くなり、急きょ土曜日休んだらしいが、日曜祝日以外はお仕事をしているそうだ。土日祝休みでももっと休みがほしい私とは大違い。あまり無理をして、また体調を崩さないことを願う。

そうこうしているうちにKちゃんが呼ばれて手術に向かう。
「行ってらっしゃい」と言うのがせいいっぱいだったと思うが、正直何と声をかけたのか覚えていない。控え室に案内されるまで病室で待つ。お義母さんのお姉さんの話などを聞かせてもらう。9時半頃、控え室に案内されたのでタリーズのコーヒーを飲み、サンドイッチを食べる。絵本のお話や、カキのアレルギーの話等々、色々と話していたら10時になっていた。手術説明の時に、メスが入るのはこれくらいの時間と聞いていたのでそろそろ始まったころだろうと話し、お義母さんは本の暗記を始め、私は日記を書き始める。

お義母さんは少しお散歩へ。私がタブレットを見ていると、救急の患者さんのご家族が入ってくる。少しして出ていく。ボストンバッグ(※Kの私物をまとめたもの)にもたれかかり、うとうと。しばらくすると、またご家族の方が1人入ってくる。寝ているのも何なので、またタブレットを取り出す。少しするとお義母さんが戻って来た。お話していると13時15分頃、執刀医の先生が入ってこられ、無事手術が完了したことを伝えられる。
ホッとしたと同時に涙があふれる。お義母さんのひざの上にうつぶせ、しばらく泣かせてもらう。お義母さんは別のご家族に気づかい、一度だけ「良かった」と言ってくれた。

14時半頃、お義父さんがご実家からの帰りに立ち寄ってくれた。Rちゃん(※Kのいとこ)のサンドイッチを2切(玉子&ハム)もらう。美味しい。朝食べたサンドイッチはほとんど味がしなかったが、今は美味しい。お義父さんが、叔父様や叔母様の話をしてくれ、聞いたりしていたが、15時半頃、ヘクちゃん(※Kの実家の犬)のお散歩もしないといけないので帰った。お義母さんが持ってきてくれた焼菓子を食べた後、1Fに降りコーヒーを買って控え室に戻る。19時まで3時間ちょっとあるし、顔を見て帰れるかもしれない。早く早く早く会いたい。

16時半頃、集中治療室に呼ばれる。Kちゃんはまだ眠っている。涙がほほを伝う。主治医の先生が説明をしてくれる。ベッドを離れる時、看護師さんに少し触れて良いか尋ねて、左腕にちょっとさわる。やっぱり涙があふれる。頑張ったね。良かった。
後は目覚めるのがいつ頃かわからないが面会時間の間は待とうとお義母さんと話し、無事手術が終わった事を姉に電話するため1Fへ。控え室に戻り、夕食におにぎりを買ってくると再び階下へ。今日はいつものおにぎり、おかずに加え、みそ汁も買う。戻ってお義母さんと2人で食べる。胸もおなかもいっぱいだ。

再び色々と話していたら18:50頃、面会時間は19時までのアナウンスが流れたので、目覚めたか聞きに行く。まだ起きていないので、よろしくお願いしますと伝え、お義母さんと2人で駅に向かう。いつもは別の電車だが、今日は一緒に途中まで帰ってくれるとのこと。快速が先に来て、お義母さんの降りる駅に止まるのではと言うが、次の各停まで待ってくれた。電車に乗り、一つ前の駅を過ぎたので席から立ち上がるとお義母さんも一緒に立ち上がり、ドアの前まで見送ってくれた。お義母さんが見えなくなるまで手を振り、家に帰る。

お洗濯をしながら残ったおにぎりときんぴらを食べ、日記を書く。今日はおやすみメールもなく、声を聞くこともできないが、明日Kちゃんに会えることだけを考えて寝よう。どうかどうか、絶えがたい痛みに襲われていませんように。
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